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***堕散る(おちる)***
第35章 step35 二十九段目 0ポイント
次にスプーンを取る。赤ちゃんのような握り方だが、何とかスクランブルエッグを掬って食べる。
「卵かけご飯は、ぴよちゃんの産みたて卵だからな。」
卵を割りほぐして掛けてやる。
ルリはスプーンでそれを食べていった。
「おぃしぃ…ぴっ…おぃしぃょ…あり…と…」
コオッ…
食事を終えて珈琲を淹れる。
ソファーでサイフォンから落ちるのを待つ。
コポッ…コポッ…
この音を聞くと落ち着く。
ルリが俺の肩に頭を乗せてきた。
ルリの肩を抱いて音に合わせてトントンと叩いた。
ふとルリの肩に手を置いていて思いつく、いつも丸まった指を伸ばすように固定したらどうだろう。
ヤスジに電話してすぐに届けてもらった。
柔らかいゴムボールをルリに握らせ、包帯で軽く巻く、暇な時はボールを指で潰す訓練をした。
ルリも頑張ったおかげで、3日もすると指は丸まらなくなり、使えるようになっていった。
足は萎えた分、時間がかかったが、1週間もするとゆっくり、掴まりながらだが歩けるようになった。
そして、その1週間目にようやくピンクのワンピースを着せることが出来た。
「ルリ、散歩にいこう。」