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***堕散る(おちる)***
第35章 step35 二十九段目 0ポイント

ルリの手を引いて、玄関を出る。
ぴよちゃんは悪いがお留守番だ。

「ぴっ…いっ…きます。」

手足に比べると言葉の治りは遅かった。
真似て喋ることはしても、単語を言い切ることすら出来ない。

「さあ、行こう。」

一度家に入ったら、服を着るのも面倒で出たがらなかった俺が、ルリに外の空気を吸わせたくて散歩に出た。

「すぐそこの公園だけどね。」

ルリが外に出ると怯えるかと思ったが、そんなことはなく楽しそうだった。

「ブランコに乗るよ。」

「うん…」

ルリを座らせ押してやる。

「はうと、できぅよ。」

ルリは笑って言い、自分で漕ぎ出した。

漕ぐ力は弱いものの一人で漕いでいた。

「はうと…ブ…、好き?」

「ああ、好きだよ。ずっと漕げなかったから、漕げるようになって嬉しい。」

「はうと…漕げな…ったの?」

「そう、少し前まではね。」

ルリに教えてもらったとは言わなかった。

言葉と同様、記憶の方も欠けたままで治りは遅かった。

手足が使えるようになると、ルリは料理をしたいと言い出し、そういう記憶は損なってなかったようで、レシピも見ずに色々作り始めたのに…


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