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***堕散る(おちる)***
第35章 step35 二十九段目 0ポイント
「いらっしゃい。」
「ああ、悪いな。開店前に。」
「別に、貴方の頼みとあれば仕方ないわ。さあ入って。後ろのお嬢さんも…」
「あ、こん…んは。」
「あら、可愛らしいお嬢さんね。こんばんは。」
クラブEXの隠れオーナー、No.1のエミは、ルリの片言に動じもせずに対応する。
「とりあえず奥の部屋でいいかしらね。」
「ああ、頼む。」
照明が落としてあってもシャンデリアや飾られた花々、調度品などをルリはキョロキョロ見ていた。
「ルリ、ここは俺の店の一つだよ。でも今日はここに用があるわけじゃない。
この女性(ひと)に会わせたかったんだ。」
「は…い…」
ルリが緊張しているのが見てとれた。
「飲み物は烏龍茶でいいかしら?」
「ああ…」
「ルリ、この人はエミ、ここの雇われオーナーで、No.1のホステス。」
「エミってのは源氏名、店での名前で本名じゃないわ。エミって名前はこの人が付けたの、絶望していた私に『いつも笑みを絶やさずに』ってね。
どん底に落としておきながら、酷なことを言う男よ、この人は…」
「まあ、何を言われても仕方ないな。」