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***堕散る(おちる)***
第36章 step36 三十段目 地上階1F
そう考えると、ルリの記憶が戻った方がいいに決まっている。
例え、全てを思い出し俺を憎んだとしても…
ルリにだってその方がいいのだ。
「うん、ルリの飯は美味い。」
思ったことは極力言葉にして伝えた。
「そういえば、ぴよちゃん、今日は卵、産みませんでした。」
「ああ、必ず毎日産むわけじゃないんだよ。大体週に1、2回勝手に休むんだ。
まあ、不定休ってやつだな。」
「そうなんですか…
しばらく待っていたんですが、」
「まあ、仕方ないな、ぴよちゃんの気まぐれだから…」
コオッ…
「ぴよちゃん…怒ってるんですか?」
「いや、名前が話題に出て反応して鳴いただけだろ?」
「そうでしょうか…
私たちに通じないだけで、伝えたいことがあるかもしれませんよ?」
「ルリもそうだったか?」
「へ?」
「ルリも喋れないだけで、話したいことは沢山あったのか?」
「え…だいたい…話したいことは…話してましたよ?」
「そうか?必要最低限だったんじゃないのか?」
「そ、そんなことはないですよ。」
「そうか?ルリは元々遠慮する方だからなぁ。」
ワタシの記憶がないだけで、ハルトは前から、ワタシを知っている感じがした。