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***堕散る(おちる)***
第36章 step36 三十段目 地上階1F
エミさんの話し振りもそうだった。
『例え、何があっても』って何があったのだろう…
それがどんなことでも、きっともっと大事なことも忘れている。
犬のワタシを拾ってくれたんじゃないなら、
ワタシとハルトの出会いはどんな出会いだったんだろう。
全く思い出せないのが歯痒い、どうしてワタシはハルトとの大切な時間を忘れてしまったんだろうか…
「ルリ、どうした?トイレか?」
「違っ…」
「何か言いたそうにしてたから…
どうした?喋れるようになったからって遠慮するなよ?」
「はい。そういえば、エミさんとハルトは、昨日どんな話をしていたんですか?」
「ああ、無くした鍵の見つけ方。」
「鍵ですか?大事なものなのに無くしちゃったんですか?」
「ん〜、沢山鍵があってどれが、その鍵穴に合う鍵だかわからなくなっちゃったって感じかな。」
「じゃあ、1つずつ試して、いくしか、ないですね。」
「そうだな、根気よく試すよ。ルリはどんな話をしたんだ?」
「だから、シンデレラと人形姫はどっちが幸せかって…」
「で、どっちなんだ?」
「わかりません、どっちも幸せだったと思います。」