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***堕散る(おちる)***
第37章 step37 三十一段目 地上階2F
記憶の鍵探しはするが、
ルリの記憶のない時の話を聞かせるつもりはなかった。
さらにルリの記憶のない部分を知っているんだということも、なるべく言わないようにしていた。
焦らせてしまうかもしれないし、俺が話して記憶を穴埋めすることは無意味だと考えていた。
ルリの記憶が戻って欲しいとは思っているが、
もし、戻らなくても、今のルリでも俺はいいのだ。
その時は、俺がルリの記憶を知っているとルリが知ることが邪魔になると考えたのだ。
エミが焦らずと言ったのも、そのやり方でいいということだと解釈した。
万が一記憶が戻らなくても、戻って俺を憎んでも、また壊れても…
俺はルリとずっと一緒にいる。
俺に眠りを与えてくれる唯一の女に、そのくらいするのは当たり前で、俺が一緒にいたいのだから…
ただ、今のルリが何を思っていて、俺はどうすべきなのかもわからなかった。
「結局、今日は何をつくりましょうか…」
「ワインを飲みたいから、ハンバーグがいいな。
あとはミモザサラダ…
ミモザを掛けるところとオードブルは俺がやるから。」
「はい、お願いします。ハルトコック長。」