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***堕散る(おちる)***
第37章 step37 三十一段目 地上階2F
「半分正解だな?」
「後の半分は?」
「着るのも面倒だから…」
「うふふっ…ハルトって、面倒臭がりなんですね。」
「そうかもな…」
その返事にルリがもっと驚いた顔をする。
「どうした?何が変だった?」
「ハルトが…あっさり認めたから…」
「面倒臭がりだと?」
「う…ん…」
ルリが犬になって戻ってきてから、俺は面倒臭がりと言われるようなことはしていない。
むしろ、よく忍耐して犬のルリに付き合ったと自分でも驚くほどだ。
それをあっさり認める俺を、らしくないと感じるルリは、記憶はなくとも、俺を知ってるのではないか…
そういった矛盾に触れて記憶を戻すきっかけになるんじゃないか?
ただ単に過去の経験や状況のおさらいでは刺激が弱いのではないかと考えた。
「あ〜っ、ハルト…」
「どうした?ルリ…」
余りの大きな声に、ルリが記憶の欠片でも取り戻したんじゃないかと思った。
「生シラスだから、茶碗蒸し…ポツリと和食だけど今日作らなきゃ。」
「あ…そうだな、今日作ろう。生卵を割るよ?」
「お願いします。コック長。」
『俺は仕事あるからコック長にはなれないよ?』