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***堕散る(おちる)***
第37章 step37 三十一段目 地上階2F
「そう、それはルリのだから、持って帰ろうか。」
「はい。」
ルリは嬉しそうに3色の制服をハンガーから外し、丁寧に畳んでいった。
そして給湯室も覗く。
「あっ、このマグカップ…」
また何か思い出したのかと期待する。
「ん?どうした?」
「家にあるのと同じですね。」
「ああ、それもルリのだから、ここにはもう来ないから持って帰ろうか。」
「黒のはハルトのですよね?」
「ああ、俺も来ないから持って帰ろう。」
ルリは2つのカップを大事そうに抱えて戻ってきた。
「ここは、何なんですか?」
「ああ、俺とルリが出会った場所なんだよ。」
「そう…なんですか…
来たことがあるような気はしますが…覚えてません。」
ルリが寂しそうな顔をする。
「気にしなくていいよ。
もし、何か思い出すきっかけになればと思ったんだけどね。
焦る必要はないって言いながら、俺が焦ってたかな…」
考えてみれば、俺たちの出会いは、ルリにとっては最悪なものだろう。
記憶から消したかったのかもしれない。
「ぴよちゃんもここに連れて来てたんですね。」
「ああ、ひよこで目が離せなかったからな。」