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***堕散る(おちる)***
第37章 step37 三十一段目 地上階2F
フワッと上がったところを箸でまとめていた。
「それ、やってみたい。」
「はい、どうぞ。」
真似てやっていく。上がるかき揚げをまとめるのは、生き物を追いかけるようで面白かった。
「今日も豪勢だな。」
「茶碗蒸しもありますよ。」
「今日は焼酎にしようかな。」
「いただきます。」
「熱っ、空豆のかき揚げ美味しいですよ?」
「うん、美味い。」
食べながら、記憶の鍵のことを考えていた。
事務所も公園もルリの実家も、引き金にはならないし、旅館での料理を模しても効果はない。
あと思いつくのは、クリスマスに出掛けた場所と旅館くらいだ。
もし、それを試しても戻らなかったら…
記憶を取り戻すということは諦めた方がいいのか?
それならそれでいいのかもしれない。
記憶がなくてもルリは俺と一緒にいると選択した。
記憶があった時と同じように…
「そろそろ、お母さんに電話してみようか…」
「はい…」
「大丈夫だよ。話を合わせて返事すれば…
俺が代わってもいいし、
お母さんがどうしてるか心配だろ?」
「う…ん…」
ソファーに腰掛け、ルリの携帯から電話させた。