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***堕散る(おちる)***
第37章 step37 三十一段目 地上階2F
震えるルリにぴったりとくっついて座り、ルリの肩を抱く。
画面をタップしてゆっくりと母親の電話番号を表示させたルリが迷っているのがわかり、急かさずじっと待った。
ようやく決心したのか、1回タップすれば、呼び出し中の表示になり、ルリはそれを耳にあてた。
「あ、あの…お母さん?」
『ルリ、どうしたの?研修終わったの?』
ハルトは話を合わせればいいと言った。
念のためオンフックにしてあり、ハルトは聞いてくれている。
頷くようにハルトが仕草で教えてくれるので、
「うん…」
と答えた。
『じゃあ、会えるの?』
「ちょっとまだ無理…
今日ね、ハルトと家の前を通ったの…
なんか誰も住んでいない感じで…
家に電話したら、電話使われてなくて…」
『ごめんなさいね、連絡出来ないって言われてたから、あなたに話さずに決めてしまったのだけど…
あなたが出ていってから、彼の家に行くことが多くなってね。籍も入れたんだけど…
あの家を出ちゃったの…
ごめんなさい、相談もせずに…
あなたの荷物も彼の家に持って来てるんだけど…』
持って来てるんだけど…
母は今、彼の家にいて電話しているんだ。