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***堕散る(おちる)***
第38章 step38 三十二段目 踊り場
「そうですね。
姫は悩みに悩んだ挙げ句、愛する王子を殺めることが出来ずに、期限の朝日と共に海の泡となって消えてしまいました。」
「めでたくないけど、それでおしまいか?」
「はい…そうです。」
「それで、シンデレラと人魚姫のどちらが幸せかと訊かれたら、普通、シンデレラだろうな。」
聞いていて、エミとルリがした話がどんなことなのか想像した。
歩けないとか声を失うなど、人魚姫はあの時のルリの状況に似ている。
「でも、シンデレラは、家事を頑張っていたかもしれないが、舞踏会にいくまでに何も努力してないな。」
「そんな風に考えたことなかったです。」
「逆に人魚姫は苦痛を乗り越える努力をしたのに、報われてないなぁ。」
「言われてみれば、そうなりますね。」
「結局、最後も自分より王子を優先させたんだろ?
泡となって消えても…悔いはなかったのかもしれないな。想いを遂げたんだ。
どっちが幸せかって周りの評価じゃないのかもしれない。
ルリ、俺は何があってもルリを放したりしない。泡になって消えるのも、許さないからな。」