この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
「何なんでしょう。」
「それを探るのがルリのテーマだ。」
「クイズみたいですね。」
こうして北上旅行は始まった。
高速に乗って、まずはひたすら餃子の街を目指す。
記憶のないルリにとっては、初めての長時間ドライブだ。
記憶がなくとも考えることは同じようで、朝食後の珈琲を多めに淹れ、水筒何本かに入れていた。
運転手の俺に、助手席で手伝えることがないからと言いながら…
結局は、記憶がなくとも、思考回路や行動パターンは同じで、これからの生活に全く影響はないのだと実感する。
ただ、記憶がないことを不安に思うルリを考えれば、記憶が戻った方がいいのだが…
そう思うと、日常からも離れ、焦らず旅行そのものを楽しめればいいと割り切ることができた。
連休前の平日ということもあり、スムーズに第一の目的地に着いた。
「さて、餃子の街へようこそ。」
ルリはクスクスと笑っていた。
「餃子以外のものは食べないようにしていくつか食べ比べしよう。」
「餃子だけでお腹いっぱいにするんですか?」
「そうだよ。ご飯とか食べちゃだめだ。」
「「いただきます。」」
「あ〜美味い、ビールが飲みたくなるなぁ。」