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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
ルリはとても嬉しそうに頷いていた。
記憶の鍵を探して開けるものなのか、
記憶を封じ込めている蓋を剥がしていくのか、
わからないがルリは断片的に残っている記憶を語る。
自分の過ちは全て認め、どんな償いでもする。
だから、全ての記憶を取り戻して欲しい。
ルリが苦しむことのないようにして欲しい。
ただ願うしかない。
俺たちは勧められるままに味の薄い薬味から食べていった。
「ルリ、初生牡蠣はどう?」
「つるんと食べれて、沢山食べれそうです。」
「よし、じゃあどっちが多く食べれるか競争ね。」
「それは、ハルトが勝つんじゃないですか?」
七輪では素焼きと醤油をかけたものが焼かれていて、醤油の香ばしい匂いがしてきた。
「さぁ、次は焼き牡蠣ですよ。そのままでも、レモンでも、お好きな薬味をつけても、色々お楽しみ下さい。」
ちょうど生牡蠣を食べ終えたところだった。
殻が熱いからと渡された軍手を片手にはめて、殻から身を剥がす。
まずは何も付けずに食べてみた。
「焼いたのも香ばしくてまた美味しいな。」
「はい、なんだか甘みがギュッと詰まった感じです。」