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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
脇では次の牡蠣が焼かれ、バター醤油と味噌が入っていた。
「さあさあ、次のお味ですよ。奥でフライも用意してますからね。」
「バター醤油が一番かと思ったけど、味噌も合うなぁ。」
「牡蠣フライをどうぞ。醤油、ソース、タルタルソースで召し上がれ。」
奥から別の海女のおばちゃんが牡蠣フライを持ってきた。
「牡蠣フライ凄く大きいですね。」
「大粒のものを揚げてるからね。殻から外しちゃうと身がしぼんじゃうからね。うちみたく揚げる直前に剥くと大きさも味も違うよ。」
ニコニコ笑ったおばちゃんが、説明して皿を置く。
「いただきます。」
おばちゃんはルリが口に運ぶのを待っていた。
「熱っ、凄く甘いです。」
「そうだろ、殻を外してしぼむと身が小さくなって、肝の味が目立つからね。
苦味を感じるだろ?
活きが良ければ甘いもんなんだよ。」
ルリの反応に気を良くして、ニカッと笑って戻っていった。
「さて、お代わりは何にする?
焼きは味付けも合わせて、何を何個と頼んでおくれ?」
「じゃあ、生牡蠣を3つ、素焼きを2つお願いします。」
「俺は、生牡蠣を薬味の数だけと素焼きを2つ。」
「はいよっ…」