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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
海女さんはペーパーナイフのような道具を殻にサッと差し込んで、すぐに殻が外れる。
それを七輪に並べ、次は下の貝柱を殻から外した状態でどんどんお皿に出してきた。

「殻剥くの早いですね。」

「殻剥き工場にいたからね。」

「へぇ〜、俺にもやらせて?」

「見るほど簡単じゃないよ。じゃあ、両手に軍手をはめて、」

丁寧な言葉遣いだった海女さんが、ハルトを新入りの社員のようにして話しかけ、言葉が砕けてくる。

「お嬢さんもやってみるかい?」

「はい。」

ワタシも軍手をはめると、木で出来た風呂椅子サイズの腰掛けを他所から2つ持ってきた。

殻捨て用のバケツを囲むように座り、海女さんの説明を聞いた。

「まず、牡蠣には上下があるんだよ。平らな方を上にして持って、」

よく見ると、丸くみえても平らな方と丸みのある方があった。

「うん、合ってるね。
で、貝柱は左の真ん中よりちょっと繋ぎ目の方にあるんだよ。殻と身は貝柱で繋がってるからね。
身を傷つけないように殻をなぞるようにナイフを滑らせて、当たった貝柱を切ると同時にテコの原理で殻を開きとる。」

説明しながらゆっくりナイフを動かして、パクリと簡単に殻が外れた。
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