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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ

「じゃあ、やってごらん?」

まず、海女さんのナイフは滑るように貝殻の間に入っていったけど、
ぴったり閉じられた殻にナイフが入らない。

ハルトは力任せに差し込んでいた。

「しっかり閉じてても、ちょっとした隙間があるんだよ。」

海女さんがワタシのナイフの先を隙間に入れてくれる。その間にハルトはぐちゃぐちゃとナイフを動かしていた。

「ああっ、身が崩れちゃうよ。」

海女さんが慌ててハルトの手首を掴み、ナイフの滑らせ方を教えていた。

「おなごのように大事に扱っておくれよ。
ほら、ここだけ硬い貝柱があるのがわかるだろ?」

「あ、ああ、わかった。」

「ここだけ切って、あとは、ほら、ナイフを返せば殻が外れるだろ?」

「本当だ。
ああ、身がぐちゃぐちゃだ。」

「これは焼きだね。」

「もう1つやらせて?」

「責任とって食べるならいいよ。」

「はい。」

ワタシも慎重にナイフを滑らせたけど貝柱がどこにあるかわからなかった。

「もうこれは経験からくる勘みたいなもんだけどね。」

海女さんがワタシの手首を掴む。

「ほら、ここを一気に切るんだよ。」

ナイフが貝柱に当たったのがわかる。


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