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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
「ぐちゃぐちゃしないで一気に切ったら、殻はナイフをひっくり返すだけで取れるよ。」

「あっ、本当ですね。」

「おしっ…」

ハルトが気合いを入れてナイフを差し込む。

「あっ、貝柱わかったよ、海女さん。」

一個目よりも手際よく貝柱を切り、パカッと殻が外れた。

「ずいぶん上手に出来たね。そしたら貝柱の下の部分を探って切る。」

「おうっ…出来た。」

「上手に出来たから、それは生で食べてごらん。」

ハルトはその場で何も付けずにつるんと牡蠣を呑み込んだ。

「美味い、剥きたて新鮮ホヤホヤだ。」

「ほら、お嬢さんも。」

ワタシも貝柱を切り、何も付けずにつるんと食べた。

「美味しいです。」

「さあ、焼も出来るからテーブルに戻って?
お客さんに殻剥きさせて遊んでる訳にはいかないから…」

テーブルに戻るとものすごい速さで殻剥きして、頼んだ個数が剥き終わる。

「フライもあと3つ。」

「じゃあ、ワタシも…」

「6個フライ入ったよ。」

「あいよ〜」

海女さんが後ろを振り向き、厨房に叫んでオーダーを入れた。
厨房からも威勢のいいおばちゃんの声が返ってきた。

「何で工場を辞めてここで働くことにしたんですか?」
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