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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
別に会社に必要な勉強でなくてもいい、何か目標があった方がいいだろう。
ルリも遠慮して言えないこと、どうしたらいいかわからなかったのかもしれない。
働く楽しさを身をもって語ってくれた海女に感謝した。
ほどなく車は宿泊地の市街に入る。
宿泊するのは、市街地より山あいの温泉宿だが、腹ごなしに七夕で有名な街並みを散策しようと思った。
車を降りてルリの腰を抱いて歩いた。
「ルリ、知ってる?この街は七夕が有名なんだよ。」
「そうなんですか…でも見たことないです。」
「七夕の時期に来てみるか…」
「はい。」
先の約束を取り付ける。何があっても離れないという思いを込めて…
土産物屋を見て回る。
何か記念になるものをと探した。
鳴子漆器の専門店で、手作りの工芸品体験コーナーを見つける。
貝殻の内面の光沢のあるチップを自分たちで好きに配置して柄付けが出来るというものだった。
やはり出来たものを買うだけより、自分たちで作るのが面白い。
お椀の柄付けを選んだ。
お互いのお椀を柄付けすることにした。
俺はルリのを作る。もう何の柄にするか決めていた。