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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
「俺もだ。」
「だ、大丈夫なんでしょうか。」
「ああ、色々調べて道具も買ったから大丈夫だろう。
だから、贅沢とか言わず、今日はゆっくりしよう。」
「はい。」
「本館にも風呂はあるらしいが、部屋の露天風呂でいいか?」
「はい。」
「じゃあいこう。」
「へっ…」
クローゼットから浴衣とタオルを持って露天風呂に向かう。ルリはまたまごまごしていた。
「うわぁ…広いなぁ。」
「凄い檜風呂ですね。」
庭に競り出すように檜風呂が広がっていた。
「ルリ、洗って…」
「は、はい。」
ルリの手が自由にならない間、一緒に入って洗ってやるのが定着したが、洗ってもらうのは久しぶりだった。
あまり意地悪せずに洗ってもらうことにした。
「頭から洗って?」
ルリは近づくだけで照れていた。タオルだってお互い巻いているのに…
ルリは記憶がないことを引け目に感じていて、俺に助けられたと考えている。
だから、何となくふざけたり、無理をいうのを控えていた。
「あ〜、ルリに洗ってもらうの気持ちいいな。」
「うふふっ、そうですか?」
見えないがルリは笑っている。
このままでもいいんだ、そう思えた。