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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
そう言ってハルトがゴーグルを着けてくれた。
お肉の焼ける匂いが拡がり、切った玉ねぎを入れると甘い匂いが混ざる。
記憶がない間も、こうやって一緒に料理する時間を楽しんでいたのだと思う。
人参やじゃがいもを切り入れる。ハルトが塩胡椒を入れて手慣れた様子で炒めていく。
「あとは、水を入れて煮込むだけだな。」
「ハルト、ご飯の加減ってどうするんですか?」
「ブクブク泡が出て、出なくなったら外して、ひっくり返して10分蒸らすらしい。」
ハルトが持っている薪を飯合に当てる。
「うん、ぐらぐら動いてる、もうすぐ泡が出るよ。ルリもやってごらん?」
渡された薪を飯合に当てると、中で米が踊っているのが伝わった。
「そうですね。ぐらぐらしてる。」
言っている間に飯合の蓋が動き、泡が吹き始めた。
「何だか火がもったいないですね。」
「そうだろ?だからこれを間で焼く。」
ハルトがバーベキューの串刺しを出す。
お肉や野菜が交互に刺されていた。
それを余っている網のスペースに乗せた。
「美味しそうですね。」
「ビールが飲みたくなるけど我慢だな。」
「ちょっと残念ですね。」
「目的地に行くからいいよ。」