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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
「カレーもちょっと煮込んだら出来上がりです。」
「じゃあ串焼き食べちゃおう。」
ベランダでは怖いけど、こうやって調理するのは楽しい。子供がいてワイワイしながら…
ハルトはそういうことを望んでいるのだろうか…
単に一緒にいるということじゃなく、ハルトと結婚して、家族になって…
もしかしたら、ない記憶の部分でそんな話をしているのかもしれないけど、改めてそう思ったっていい。
ハルトは好きとか感情や気持ちを言葉にしない。
それが、以前からなのか、ワタシの記憶がないことを気遣ってかはわからない。
でも、言葉にされなくても、行動で大事にされているのはわかる。愛されていると感じる。
ワタシの気持ちを伝えるべきだと思った。
ただ、いつ…というのが難しい。
気づいたら一緒にいるのが当たり前で、改めて言葉にするきっかけが欲しかった。
「ルリ、もうカレーいいよね?」
「はっ、はい…」
鍋をかき混ぜながら考えことをして、ぼぅっとしてしまった。
「じゃあ、鍋を下ろすよ。」
「あっ、お願いします。」
「ルリは飯合の裏や横を薪で叩いてて?」
「はい、でも、どうして?」
「美味しくなるおまじない。」