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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ

「ピンチじゃん。」
「はい、ただ訪れた兄弟たちをもてなそうと暖炉に鍋をかけてお湯を沸かしていました。
煙突から降りてきた狼は、煮えた鍋に落ちてしまいましたとさ。」
「めでたし、めでたし…狼鍋を兄弟仲良く食べましたとさ。
でもさぁ、ヘンテコとぐれてる兄弟の魔女も鍋に落とされたよな。
助かった方も結構残酷な仕打ちをしているな。」
「ヘンテコとぐれてる兄弟?
って、ヘンゼルとグレーテルですか?」
「うん、それ…」
「ワタシ…そのお話をしたんですか?」
「ああ…かなり前にね。」
「じゃあ、やっぱり、前から今と変わらない生活をしてたんですか?」
「そうだよ…ルリは…いつも…変わらない…
優しくて…ずっと…一緒にいる…て…言い切った…」
「ハルト…ありがとうございます。」
「ん…おやすみ…」
ハルトのおでこがコツンとワタシの頭にくっついてくると、そのまま寝息が聞こえてきた。
寝袋とハルトに包まれてポカポカしていた。
ハルト………好きです…
なかなか言い出せない想いを小声で呟いた。

