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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
「ルリに、青鬼にも、赤鬼にもなっちゃいけない…
自分の大事なものなんて、少ししかない。
それは譲ったりもらったりしちゃいけない。
って言っておきながら
お互いが大事だと気付けなかった赤鬼も青鬼も可哀想だって言いながら…
俺がわかってなかったんだ。」
っはぁっ…ハルト?…なんの…っああぁ…
「戻ってきてくれよっ…ルリ…
一緒に眠れる女は…
肌を重ねて心地よいと思える女は…
ルリ…お前しかいない…
俺が大事にしなきゃいけないものは…ルリだけだったんだっ…」
ルリの動きが止まり、俺を不思議そうに見下ろしている。
「ハルト…泣いてる。」
そっと俺の涙に指で触れ、近づいてきて唇で拭いとっていく。
「ああ、赤鬼だ。大事なものを、ルリを失って泣いてるんだよ。可笑しいか?」
「そんなんじゃなくて…
ハルトが泣くなんて…
初めてで…
泣かないで…ワタシはずっと一緒にいるから…」
ルリは上体を倒して俺の胸に収まる。
繋がった自身は吐き出したくてビクビクしていた。
「ルリ…心が無いなんて嘘だ。ルリが大事だ。
ルリを愛している。
この感情を愛していると言っていいんだよな?」