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***堕散る(おちる)***
第39章 step39 三十三段目 屋上へ
「愛して…いる…
愛なんて…わからない…
心なんて…壊れてしまったから…」
ル…リ…?
「ワタシは…ハルトに言った…
ずっと一緒にいる…
ハルトが好きとか愛とか…わかるようになるまで…
ずっと…一緒に…いるって
ハルト…黒い薔薇…
きっと…取り戻して…紅い薔薇に…なる…
ああああああっ…」
ルリが俺の腕の中で震えながら叫ぶ。
静かな山の中でその声が響き渡り、振動で桜が沢山舞い降りるように思えた。
「ルリ…大丈夫か?
何があっても…ルリを愛しているから…」
俺の胸に伏せていたルリが顔をあげ、俺と目をしっかり合わせてきた。
「ハルト…ワタシ…知らないうちに…青鬼になってたの…
ハルトを大事にしなきゃいけない…ハルトの言うことは…聞かなきゃいけないって…
自分の心を閉ざして…ハルトを愛している気持ちを忘れて…ハルトの全てを忘れてしまっていた…
王様の所に連れていかれて、王様をハルトの代わりにして…犬だと言われて…
何もかも忘れてしまえばいいって…
ああああああっ…
ハルト…ハルトぉお…」
「記憶が…戻ったんだな…ルリ…」
「はい、ハルト…もう一度、聞きたいです。」