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***堕散る(おちる)***
第22章 step22十六段目…初冬
席につくと小さなグラスが出てきた。

「食前酒ニナリマスー」

すぐに前菜が来て真ん中の台に乗せられた。

「さぁ、沢山食べるよ。かんぱーい」

ほんの一口の食前酒は、どこかで嗅いだことのある香りだった。

「これ何?」

「桂花陳酒デス」

「けいかちんしゅ?」

「ハイ、キンモクセイのオサケね。」

「ノンアルできる?」

「ノンアル?」

「けいかじゅーす
ノンアルコール」

「オッケー、ケイカジュースできます。」

「じゃあそれを1、チンタオビール1」

「カシコマリマシター」


ここはどこ?と思わせる会話をハルトと店員さんがしている。

その間に前菜を取り分けた。

「棒々鶏とクラゲとピータンのオードブルねー」

店員さんが会釈するとき、ドレスのスリットがハルトの方になるように向きを変え、
チラッとハルトを窺ってから、くるりと向きを変えて出ていった。

「あ〜ルリ、何でよそっちゃうの?」

「ダメでしたか?」

「このクルクルは何の為にあるのか…」

ハルトが中央の回転台を回し、指でズルズルと留める。

「あの、オモチャじゃないと思うんですが…」


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