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***堕散る(おちる)***
第22章 step22十六段目…初冬
ゆっくりと地上に戻っていく…
人や車が見えてきて、ハルトと二人きりの夢の世界から連れ戻されたようだ。

例え何があってもハルトから離れない。ハルトと一緒にいる。
ワタシはまた改めて決意した。

乗り場を見ると、もう列はなく、ワタシ達は今日最後の一周に乗ったのだとわかった。

「最後の一周の中になんとか入れたんですね。」

「あぁ、ラッキーだったね。」

ハルトがそっと隣に座らせてくれる。
一つ、また一つボックスが開けられて前のお客さんが降りていく。
ほとんどがカップルで、皆寄り添ったまま歩いていく。

一つ、一つ、夢の終わりが訪れる。

「さあ、降りなきゃね。」

ハルトに手を引かれて一緒に降りた。

前のカップルが降り場のすぐ先に止まっていてこっちを見ている。

さっきのキスを見られたのかな、恥ずかしくて目を反らす。

「羨ましいですね。」

女性が声をかけてくる。

「何が?」

ハルトが聞き返す。

「今日最後の紫のゴンドラに乗れたんですよ。
うちはあと一つだったのに…」

「お前はジンクスにこだわりすぎ…」

女性は連れの男性にたしなめられる。

「だって、一つしかない紫に乗りたかったもの…」
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