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***堕散る(おちる)***
第22章 step22十六段目…初冬
灯りが消える瞬間のハルトの表情は、蝋燭の数と同じ五歳くらいの子供のものだった。

パチパチパチ…

ハルトが薄暗い灯りにする。

「このくらいでケーキもルリも見えるからいいかな。」

「はい、ナイフを入れるのもったいないけど、ケーキを取り分けますね。」

「うん」

ハルトがシャンパンとソーダのコルクを抜く。

ポーン…シュワワワァー

軽快な音が響く。

「いただきます。」

「このシャンパン美味しい。」

「ソーダも本物の苺の味がしますよ。」

「どれ?」

ハルトがワタシの手ごとグラスを引っ張り味見する。

「本当だ。甘酸っぱい。」

ケーキも口にする。

スポンジもクリームも上品な甘さで、添えられたフルーツもしっかり味わえる。

「美味しいね。」

ケーキの脇には季節外れの夏の海がゆらゆらと灯されている。
一緒に作って形になったものがそこにある。
それも幸せだった。

「美味しい。何か全部ハルトに用意してもらって申し訳ないです。」

「何だか今日の終わりを締めくくったような言い方してないか?」

「え?」

「今からたっぷりルリ味わうから…」

「は…はい…」


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