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***堕散る(おちる)***
第22章 step22十六段目…初冬
考えていてハルトに急かされた。

ワタシも湯船から出て、お互いの体を拭きあった。

「でも似てた。」

「はい?」

「タオルのコポッて音…」

「あ…」

ハルトがワタシの胸に耳を当てる。

「お腹にいた時の音…」

「ハルト…」

誕生日はハルトには嫌な日なのかな…
生まれてきたことを、邪魔者呼ばわりする母親…
辛い経験をするきっかけ…
ワタシはハルトの頭を撫でていた。

「ルリ?」

「ハルト…これからいっぱい楽しいことしましょうね。」

「はぁ?」

「お誕生日が楽しい日になるように…」

「ふあ?俺、寂しい奴じゃないよ?」

「へ?」

ンン゛…ンアッ…

「ふふん、乳首いつでも敏感だね。」

「っう…」

「早くケーキ作るよ?」

はぐらかされた…
同情してる感じになってしまったかな…

ハルトに手を引かれてキッチンにいく。
ハルトがどんな表情でさっきの言葉を口にしたのか、わからないままだった。

「ハルト…生クリーム泡立て…」

「やる。」

準備すると、生クリームをボールに開け、泡立て器を構えているハルトは、もういつもの表情だった。

「空気を取り込むような感じで早く掻きまぜてください。」


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