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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第20章 テレーザと中央施設
「知らない世界‥‥ですか‥‥」
彼は私を抱き締めたまま、そう言って遠くを見ているよう‥
知らない世界、彼も行きたいのだろうか??
暫く遠くを見ていた彼だが、ベッドサイドに置いてあった煙草を掴み、火を点けて煙を一気に吐き出した。
「・・知らない世界も良い事でしょうテレーザ‥
ですが私が貴方に出来るのは、伝令役としてロシアに派遣させる事のみです‥
この緊迫の情勢下で、留学や遊学といった方法を取ってテレーザを独国から出す事は出来ない」
「それは‥‥当たり前の事です、伝令役でも命がけなのも理解しています‥
でも!私は行ってみたいのですコンラート様!!」
睦言の迫真の演技‥
此処で彼を頷かせなければ後は無い、是が非でも彼を頷かせる方向に持っていかないと!
「・・・
それでもと望みますかテレーザ、私を置いてでもロシアに行くと・・・」
「コンラート様と離れるのは辛いです、私の心が引き裂かれそう‥
でも‥‥でも!
最初で最後のチャンスに、私は掛けてみたい」
「・・・分かりました・・・
何か理由を作りましょう、数日は掛かるとは思いますが、私の提案をアドルフが無碍に却下する事もない‥‥そう言っておきます」
「ありがとうございますコンラート様」
これで‥‥これで堂々と、この国から出る事が出来る‥
数日の間に、あの男とも連絡を取らなくては。
私の‥‥本来の任務の為に・・・