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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第25章 稀少種の闇-享楽-
ルークが驚くのも無理は無い、この場所にどれだけの棺があるか、私でも数えた事が無いほど。
その広い地下空間の中で私が向かうのは、1つだけ一段高い場所に安置されている棺。
「・・先ほどの幻影を見たせいでしょうか、何となく顔が見たくなったんです、だから此処に来た・・」
「・・・顔って・・・」
「棺の中を見れば分かります」
どれだけの重さがあるか分からない棺の蓋を、私は軽々とズラして‥
その中に見えるのは骨‥‥では無く、まるで生きて眠るように佇む躯。
「幻影で母は見ましたから、父の姿を見たくなったといったところ‥
父と母は正反対の髪色、銀の盟主‥‥聞き覚えくらいあるでしょう?」
「空座の時の前の盟主‥‥そう記憶にあります」
「当たっていますよ‥
母が先に逝き、父と私だけが残った‥
混血と血の誓約、完全な稀少種で無い方が寿命が長い‥‥誰も思わなかった事です、母が希望であれば父は衰退の象徴、そう言われていました」
「希望と衰退‥
では盟主は??」
「さあ‥‥
私は何でしょう、そんな呼び名を付けられる前に、稀少種は絶えましたから、私は何者でも無いが一番合っているんですかね・・・」
ルークは棺の中を見て、また驚き顔‥
生前そのままの姿、ただ穏やかに眠る‥‥そう見える筈。