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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第26章 稀少種の運命-金銀盟主-
始めに思った、私には辛い記憶だと。
既に居ない眷族・母・父そしてミア‥
思い出したのは怒りと‥‥悲しみ‥
私が数百年の間放浪したのは、私自身がこの記憶を消したかったかも知れないと思った時に、霧を‥‥幻影を追うのを諦めた。
思い出さない方が良い事もある‥
冷たい盟主で結構‥‥
パートナーなど現れる訳が無い、居るのならば放浪の時期に見付けていたと思う。
「永遠なる盟主‥
私は後どれだけの年月を、こうして過ごせば良いんでしょうかね?
死ねない私は、死せる人間が羨ましくもあり、自ら命を絶てる人間を腹立たしくも思う、時が流れれば流れるほど強く思うんでしょう」
簡単な夕食を終え、ルークが興した焚き火の前から私は立ち上がる。
「少し‥‥1人で歩いて来ます」
「・・・はい・・・」
ルークが極力私を刺激しないようにしているのが分かるから、私の方がルークと離れ散歩をする方を選んだ。
勿論ああ言えば、ルークが追って来ないのを理解した上で・・
「・・やはり此処‥‥でしょうね」
当ても無く歩いたが、私が来た場所は一番安らげて、一番辛い思い出が残る川の畔‥
幾ら考えても此処しか思い付かなかった。