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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第28章 日本という国ーもう1つの祖国ー

「これで衣食住は何とかなりますか‥
帰りに市場で食材を調達しましょう」
こうして普通の時間というのは、なんて心踊るのだろうか‥
感情を取り戻したからこそ思える事で、前にミュンヘンに来た時は、此処まで考える事は無かった。
購入した本を全て読み切り、広場から近くの市場へ‥
人の活気も物も豊富、前の私だったら近付きもしなかった場所。
「ナツメグとコリアンダー、後鮮度の良いバジルも欲しいです」
「はいはい、今日は奥様に手料理ですか?」
「くすっ‥
生憎と私は独身なので、自分で食べる為です」
「若くて良い男なのに勿体ないね独身なんて、早く彼女を作って結婚しなさいな」
「機会があれば‥
結婚願望はありますよ?」
たわいもない会話‥
昔はこんな会話を平気でしていた、でも今は新鮮な感じを受ける‥
こんな軽口はついぞ無かったから。
「まいど!
また寄ってね兄さん」
「ええ、此処はスパイス豊富ですから」
そんな事を言って次の店へ‥
人と話すのが心地良くて、私自身も少し買い過ぎたと思う、商売上手とはこういう事を言うのだろう。
だが決して不快な気分では無いし、冷蔵庫が普及して多少買い過ぎてもストックが出来るから、別に問題無い。

