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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第29章 命の重さー盟主の嘆きー



だがどうしても許せなかった、簡単に死を選ぶ事が私の心の琴線に触れた‥
死ねない私は死ねる人間が羨ましい、それは天寿を全うすればの話であり、自ら命を絶つなど論外。


アドルフの自殺はあれが天寿だった、だから私は手を貸しエヴァに苦しまない死をと力を使い‥‥‥いい加減本当に昔の話。



「久々にあれを見たからですかね?」


ナチの軍服と初版本‥‥
このミュンヘンでアドルフから直接送られた物であり、あの郊外の別荘でアドルフが寄越した唯一の本物の軍服‥
だからこそ、この場所に保存していた物、全てオリジナルだから。



「‥‥今更‥‥
それに此処に居ては、せっかく助けた命を私が殺す事になってしまう」


力を使ってから少し時間が経過し、瞳は青色に出来たが、飢えと均衡は戻らず‥
無意識で目の前の女を襲いはしないだろうが、私としてもかなり危ない状態には違いない。



「先ずは‥‥後始末ですね」


フラ付く身体を意思の力で何とか抑え、リビングにある古い電話機から本部へ‥
ルークが居ない今、命は直接賢人に回している。



「・・・頼みましたよ、このセーフハウスに跡1つ残さないように・・・」


こちらはこれで良い、深夜の内に事は終わる‥
問題は私の均衡と飢え、特に均衡の狂いは賢人に知られる訳にはいかない。


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