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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第30章 命の重さ2ー盟主の慟哭ー
此処まで来れば後は易い、通常の道路をひた走りミュンヘン市内まで行けば良い事、バイクの利点で渋滞に巻き込まれる事も無く、私と悠真はミュンヘン中心部にある病院に到着。
普通の人間を乗せて所要1時間、私でも良くやったとは‥‥思う。
病院に入り私達は奥様が居るであろう救急外来へと急ぐ、そして救急外来のロビーには、私に連絡を寄越したであろう悠真の上司が肩を落として座っていた。
「‥‥‥うちのは‥‥‥」
「朝比奈‥‥その病室だ‥‥」
「‥‥‥‥‥‥‥」
顔色の悪い悠真の上司、そして気落ちしたような言葉、悠真も何かを感じ取ったのか、無言で病室の扉を開け‥‥‥そしてその場合で固まる‥‥
病院に居る奥様は‥‥全身にシーツを被せられ、そしてその隣には小さなシーツを被せられた揺りかごが1つ‥‥
この短時間でも‥‥‥遅かった‥‥‥
「‥‥そんな‥‥まさかだろ‥‥おいっ!!」
「‥‥悠真‥‥」
悠真はシーツを引き剥がし、既に命尽きた奥様と子供を半狂乱で見詰め‥‥そして理解したように横たわるベッドの前に座り込み、項垂れ涙を流す。
「‥‥‥悠真‥‥‥」
「‥‥‥‥‥
コンラートすまん‥‥妻と子と3人きりにしてくれないか‥‥‥」
「‥‥‥ええ‥‥‥」
涙を流す悠真に私は声を掛ける事すら出来ず、悠真の言う通り静かに病院から出る事にした。