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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第30章 命の重さ2ー盟主の慟哭ー



(‥‥私でも命尽きた人間に手を貸す事は出来ない‥‥)


力があっても何も出来ない私‥
人間も自然の一部‥‥だが、それは生きている人間に作用する力であり、無機物と化した死したる人間には作用しない。


自然の力は全能では無い、私にも出来ない事は沢山ある‥‥そんな事は分かりきっているというのにっ!!



「‥‥コンラートさん‥‥」


「っっ!」


悠真の上司に話し掛けられ、私は思いを断ち切りそちらの方に振り向いた。



「こんなに早く朝比奈を連れて来て下さったというのに‥‥
朝比奈の奥様が命尽きたのが10分ほど前、そして子供は初めから死産でした」


「‥‥そうですか‥‥‥
もっと早く悠真を連れて来られていれば‥‥‥」


「いえ‥‥
あの山の上から、こんな時間で連れて来て貰っただけでも奇跡に近い」


「ですが‥‥間に合いませんでした」


「‥‥それも運命だったかと‥‥
朝比奈には辛い運命だが‥‥」


「‥‥‥‥‥‥‥」


私の方がいたたまれない‥‥
何故奥様の運命に気付けなかったのか?
何故星を見る事をしなかったのか、星詠みをしていれば、この運命に気付く事が出来た筈なのに、私はそれをしようとしなかった。



「‥‥悪路をひた走ったので‥‥外で誇りを払って来ます」


はっきり言って、あんな道を走ったせいで全身誇りだらけ‥
病院内で払う訳にもいかず、私はバイクを停めた入り口付近へ行く事にした‥‥いたたまれない気持ちを持ちながら。


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