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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第30章 命の重さ2ー盟主の慟哭ー
病院を出て軽く砂ぼこりを払ったが、思った以上に深く入っており、結局のところ上着とネクタイを脱ぎ、しっかりと払う羽目になってしまった。
「はぁ‥‥
殆ど盾の役割でしたからね‥‥それにしても酷い‥‥」
服装など構っている暇も無く飛び出したので、Cross selsの黒いスーツ姿のまま‥
それであんな滑走をしたのだから埃まみれは当たり前‥‥間に合わなかったが。
「‥‥‥後10分‥‥‥」
後10分早く着けなかったか?
何度そう考えても、あれが限界だった‥
いや、形振り構わずルークと共にミュンヘンに来たようにしていれば、もう少し早く到着出来た。
「‥‥‥考えても無駄ですか‥‥‥」
あの頃より条件が悪くなった世界、道路にもミュンヘン市内にも監視カメラが存在し、おいそれと無茶な行動も出来なくなって来ている‥
あまりにも世界のルールを無視する訳にもいかなく、取れたのはあの方法のみ。
「それにしても病院‥‥‥」
仕方が無かったが、病院は私が得意では無い場所の1つ‥
幾ら瞳の力を抑えているとはいえ、回復する者そして死すべき者の反応が、私にひしひしと伝わって来てしまう。
「人は脆弱で脆い‥‥だからこそ光輝く‥‥」
もう少し日本の話を聞きたかった‥‥
もう少し日本食というのを食べたかった‥‥
もう少し素朴で純粋な日本人に付き合っていたかった‥‥