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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第33章 ルークの帰還-雲の上のパウリーネへ‥
自分はパウリーネと居た頃そのまま、もしアメリア・フランクに本当の事を話しても、信じて貰えない事くらい十分承知している‥
それでも‥‥顔くらいは見たい、そしてパウリーネに‥‥
居城に帰って来て幾らも経たずに、自分はまた居城を飛び出した‥
同じアルプスだというのに、大きく迂回しなければ行けない場所スイス、そのスイスの更に山岳地方に当たる田舎ヴァイスバードという村に家があるらしい。
(‥‥田舎というか、見渡す限りの草原とアルプスの山々、こんな場所でパウリーネは暮らしていたのか‥‥)
ポツポツと家はあるが、隣の家との距離がどれだけ長い事か‥
そしてフランク家は、その中でも一番山高い場所にある‥‥多分パウリーネの安全面を考えて盟主がこの土地を選んだ。
「大戦真っ只中だったんだよな」
パウリーネが居城を出たのは大戦末期に近い時期、その頃に安心して暮らせる場所はこのスイス以外には無かった‥
自国に戦争を持ち込まず、傭兵として他国の軍に身を置いたスイス人、だからこそ今中立国として成り立っている経緯。
「一番頭が良かったのはスイス人なんだろう」
今は永世中立国として、世界中の重要な国際機関や大企業などがスイスに本拠地を置く最も安全な国‥
盟主がスイスを選んだのも頷ける。