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第34章 パウリーネ-天空の天使

「・・・約束・・・」


薔薇が好きと言ったパウリーネに、外から居城に帰る時はピンクサファイアと薔薇の花束を持って来るから‥‥そう言った俺の約束。


あの大戦時の混乱の中でも、必ず形が違うピンクサファイアのネックレスを探さし出し、日銭稼ぎの路地売りから薔薇の花を買って居城に帰る‥‥パウリーネの嬉しそうな笑顔だけが見たくて、俺も結構無理をしていたもんだ。



「今は加工技術が発達して、どんな形でも自由なんだ‥‥全部違うだろ？
同じ形のネックレスは１つも無い‥‥俺なりの拘りだった」


少しずつ朝靄が晴れて、沢山並べた白薔薇が綺麗に輝いていく‥
居城の中庭で沢山の花に囲まれ幸せそうな顔をしていたパウリーネ、今でも思い出せるあの可憐な笑顔。


何十年経ってもパウリーネとの思い出は色褪せる事が無く、俺の心の中に住み着いているが、それも今日で終わり‥
ピンクサファイアのイヤリングを持って来たのは、何時までも絶ち切れない思いを絶ち切る為‥‥俺が解放してあげなくては誰がパウリーネを解放出来る？



「‥‥‥イヤリングを渡しに来た、これは元々パウリーネの物、我が儘を言ったのは俺だったよな」


２つ揃ったイヤリングこれが本当の形、パウリーネが喜び一番大切にしていた‥‥だから揃っていた方が良いんだ‥
何十年も片方だけにして悪かった。