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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第34章 パウリーネ-天空の天使



ずっと割り切ろうと努力はしたさ、何度も何度もパウリーネは過去だと自分に言い聞かせて‥
だけどロシア潜入時、あの感情が全く籠らないのを感じ、全然忘れていないと痛感させられた。


俺が女を見ていた目は『もしもの時の餌要員』、そして実際に血も奪ってしまった‥
そんな目でしか見れないと、これから困る事になってしまう。



「どうして駄目なんだろうな俺は‥
俺の今までの人生の中で、パウリーネ以外に心動かず‥‥苦手なのか、ずっとそんな環境だったせいなのか、俺ですら分からない‥
人を愛するという心が欠けてしまったのだろうか‥‥あの時に‥‥」


銃弾に撃たれ仮眷族となったあの日‥
無意識と勢いだけで女を喰った時から、俺は変わってしまったんだろう、そして感情の一部が欠けたんだ、女を喰った衝撃に心が悲鳴を上げていた‥‥と、今だから思える。



「‥‥90年近く生きて、漸く自覚するんだから俺も相当鈍い‥‥
こんな事は本当にパウリーネにしか愚痴れないんだよ‥‥そしてこの愚痴も最後、今度こそ愚痴る相手も居なくなるのか‥‥いやもうずっと居ないんだよな」


どんどんと朝靄が晴れて行き、空は快晴の澄みきった空‥
日の光と反射する白薔薇‥‥どことなく昔あった光景、花びらは舞ってはいないけど。


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