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契約的束縛外伝・自由への扉ー
第35章 遺跡と遺物-自由への扉

雨風を避けながら物乞い、それも此処ハノーファーはドイツでも寒い地方、そう考えるとこの駅舎は最適と言えるでしょう。
「あの頃の面影なんて何も無い・・
綺麗な駅、替わった建物、もう俺の知っているハノーファーじゃ・・・」
「‥‥あれから40年以上は経っているんです、替わる方が当たり前‥‥
貴方には当時の現実だったかも知れませんが、ハールマンという名は有名でも、今の貴方を見て同一人物だとは思わない」
「俺の方が変わってしまったから」
「ええ、時というのは残酷です、貴方が居城に居る間に世界の方が変わってしまった、そして貴方自身も変わってしまった‥
‥‥時間は自由であり束縛‥‥
時は絶えず前に進みますが、私やルークそしてアリアンや貴方には、辛い束縛なんです、私達の方が時に置いて行かれるという束縛」
「自由であり束縛」
私は街が見える場所で腰を落とす‥
見える街並みは、過去と現在が入り交じった街並み、昔から残っている建物と新しい建物。
置いて行かれるのは私達、時に対して自由である代わりに、生きとし生けるもの全てに置いて逝かれるという束縛‥‥
人は‥‥生き物はそこまで長生きじゃ無い、この1000年で私はどれだけ置いて逝かれたのでしょう。
考えても無駄な事、そう割りきってはいますが、時より揺り返しはやって来る、それがどれだけ辛い事か。

