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桜木母娘の奮闘記
第1章 敵



日差しはジリジリと音を鳴らし、地面の上では蜃気楼が揺らめいていた。



コンクリートと石畳の場所は、特にだ。





冴子は男の隣に座る。


由美も男の隣に座る。




三人仲良くお茶を飲んでいるように見えて、その両極同士はまるで犬と猿だった。





「美味しいお茶ですね」




「大した物じゃありませんよ。
お菓子もどうぞ召し上がって?」




…もう覚えたわ。


あなたってこういう時は、いつもにっこり笑ってお菓子を貰うの。


ありがとうは口に出さないで、それでも私に伝わるものだから、まるで魔法使いのよう…





『大樹さん、あたしも食べたい』




由美が男の服を引っ張ると、男は由美の方へ顔を向けた。



「だーめ。
これは俺のなんだからー」



『えー、ひどい』




「嘘だよ、嘘。
はいどーぞ」





私は見ているだけ。



彼と由美が親しそうに喋っているのを…


冗談を言えるような人って、あなたにとっては私より由美なのよね。



「由美、まだお菓子ならあるから我慢しなさい」




『…はーい』




いつからこの子は


私にこんな目を向けてくるようになったのかしら。





私のことを、好いてはいないでしょうね。


よくわかるわ、女だもの。


女の目よ。



嫉妬深い猫のような目で私を見てくるの。




私の一人娘は、私をこんな目で見てくるようになったの…







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