この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第15章 動き出す思惑
部活でオーボエの練習をしていた萌は突然、ピシャンッと乱暴に教室のドアが開いたのを驚いて見た。

榎本豊である。

「え、榎本くん、どうしたの?」

小橋カンナが驚きながら問う。

榎本豊は

「ああ…ちょっと澤村先生と話をしてまして、遅れました。」

(ゆうちゃんと?何かあったのかな…?)

ゆうと話をして遅れる…萌にとってはその中身が自身にとっては重大な事ばかりだった為、怪訝に思う。

榎本豊と言えば、5月に突然告白をされ、全く予想だにしていなかった為、つっけんとんに振ってしまった…萌はそんな事を思い出す。

初めはぎくしゃくしていたし、誠の痴漢行為で萌自身も色々思うことがあり、全く話さないでいたが、入学したてから眺めていた榎本豊と言う人物は、穏やかで分け隔てなく人と接するタイプ…誠らのように目立ちはしないが、他のクラスメイトから頼りにされる…そんな認識を持っていた。


片手にオーボエケースを持ち、スタスタと歩いている姿を黙って眺めていた萌は、隣にいた唯が俯ていた事を察し

「ど、どうしたの。唯ちゃん?」

と、聞く。

唯はハッとした表情を浮かべ

「何でもないわよ!」

と、強い口調で話すのに、ビクッと萌は反応する。

今日の朝から挨拶をしても何も返してくれなく、音楽準備室からオーボエを取りに行く時も、いつもは萌と話をしながら行くのに、今日は小橋カンナと楽しげに話をしていた。

少し離れた距離で一人それを眺めていた萌は寂しさが襲った。

(どうしちゃったんだろ、唯ちゃん…)

高体連の時だって、コンクールの時だって、お互い励まし合いながら、楽しく部活をしていた仲間であり、友人である唯の突然の行動変異に驚きを隠せずに、また、どのように話かけたら良いのかすら萌には分からない。

榎本豊が加わり、また、パートの練習が始まる。

萌のオーボエからピーと言う空気が抜けた音がする。

フッと、オーボエのリード部分を見ると亀裂が走っていた。

「あ、すみません!リードが壊れてしまいました!」

そう言うと、練習がストップする。

「うん。今日はちょっと乾燥しているみたいだからね。少し一息入れようか」

小橋カンナが言い、

萌は
「ありがとうございます!」
と、ガサゴソとケースの中にある予備のリードを探す。
/372ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ