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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第28章 迫り来る影
「あとは特に…。今どこかに潜伏してる筈だとは警察にも言われたけど…あっ、マサトって言う人と携帯で話をしてました。」
「…マサト」
「話しをしている内容までは聞いてなくて…またあとで警察の事情聴取来るので、話をしておきます」
「わかった」
ゆうはそれにしても…と続ける
「妊娠って、喜ばしい時は良かったねって言えるけど、あなたらの年代はやっぱり大人に守られてる部分もあるし、今回は言えない状況だったの。
…妊娠してなくて、良かったわね…」
その言葉に唯はコクンと頷く。
「もう…こんな事に引っかからないようにしないと」
と、泣き笑いを浮かべてる彼女も人生の入りたて。
ゆうは口を開く。
「人の人生は良いことも悪い事も半分半分で出来てるんだって。誰かが言ってた。私もそう思ってる。」
唯は目を瞑り
「そんなもんなんですね…」
と言う。
「そう…相手は順風満帆に見えていても、どっかこっかで、つまづいたり、転んだり、でも軌道修正をしながらみんな生きてる。…だから、今こうなってしまったって言う事を悲観的には捉えないで、ね?」
その言葉に
「はい」
と、唯は頷く。
「みんな心配してるけど、どうする?もう少し、時間必要かな?」
ゆうの言葉に唯が
「…萌に謝りたい」
と言った。
「了解。近い内にまこちゃんと二人連れて来るから。今あの二人も結構大変で、缶詰状態なのよ。まこちゃんにいたずら電話が来たり、体育のジャージがズタズタに引き裂かれたりして…。あと…刃物を持った人に追い掛けられて…ね。」
唯がハッとした顔で
「もしかして榎本くんが…?」
ゆうは頷きながら
「警察と学校はそう思ってる。私の不甲斐なさもあってね。全く榎本くんの心開けなくて、結果的に辛い目にみんな合わせてしまってる。本当にごめんね」
そう言うゆうに、唯は
「…大丈夫です…。でも榎本くんを止めなきゃ…。川仲くんのバイト先を聞いてきたって事は」
その言葉にゆうが黙って頷いた。