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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第29章 血と機転と夢
「だってよぉ…なんかもうジャージズタズタまでされちまったらなんかもう逃げられねー気がしてさ…」

誠が言うのに

「気持ちは分からなくはないな…」

と、紘は呟く。

そんな事をしてる内に萌の最寄駅に着いた。

夜道は危ない為、ジャージがズタズタになって放置された時から、帰りは割り勘でタクシーに乗る事にしている3人。

「すまん…財布が…」

と言う誠の言葉に

「出世払いで良いから、取り敢えず命最優先だかんな!」

と言う太っ腹な友人二人のお陰もあり、財布があまり寂しくなくて済んでいる毎日を送っていた。

タクシーが萌の家に止まる。

「ありがとうございました!」

と、3人でいつも降り、そこから紘と波留は帰る。

本当に大変なのは当事者もそうだが、周りもだな…と、わざわざ遠回りまでしてくれて、送ってくれる友人二人に感謝をしつつ。

「じゃあなぁ」

と、分かれようとする時に異変に気付いた。

いつの間にか、3人がバッドやパイプを持った6人に3人ずつの体制で囲まれていたからである。

(…いつの間に…?!)

そう思ってる最中、

「川仲誠さん、待ってたぜ…」

と、誠の鳩尾を膝に入れられる。

波留と紘同様だったようで、そこから足も体も抱えられ、萌の近くの公園までやって来た。

「辞めろ!」

そう言ってるが、やはり身動きが出来ない状態の為、為すすべが無い。

そこからはパイプやバッドで、背中や腰の殴打が始まる。

「グボッ」

口が切れて、吐き出した血の飛沫が雪に染まる。

バキッバキッと言う音はするが、誠は息が止まっているような感覚しか無く、自分が今鈍器で殴られているんだと言う衝撃しか来ない。

ドサッ

地面に倒された誠ら3人は足や手で殴る蹴るの暴行を加えられる。

(死ぬのか…?覚悟してたけど、抵抗できねー…)

何故かこの自体を冷静に受け止めている誠。

頭も切れたのか、ツーと温かいものが降りて来た。
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