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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第29章 血と機転と夢
(あれ?ここどこだ?)

真っ暗な暗闇の中、北と南に光がある。

北の方の光に進もうと、誠は足を進めようとした。

その時、パシッと、腕を掴まれる。

「ばっか。お前。俺が助けてやったつぅのに、そっちに行くんじゃねぇ」

懐かしい声が腕を掴まれた方から聞こえて来た。

振り返ると

「おじ…おじさんっ?!」

悠治はニヤニヤ笑いながら

「そうですよー萌のお父さんですよー」

と、軽い口調で言う。

「本当はここに来ちゃダメなんだけどね?お前助かってるしね?でもどおっしてもお前に言いたい事があってここに来ちゃった。」

と、誠の小さい頃とは、少し違う口調で話す悠治。

これが本来のおじさんの姿なんだな…と思いながら、悠治の発言に驚いた誠は

「俺助かったの!?」

と言う。

「だから助けたの!お前をね?わざわざ萌の夢の中に俺が入ってさ。大変だったんだぜー?あの時めっちゃ叱られたんだから」

夢の中と言えば、確かにそんな事を萌が言って、ご褒美プレゼントを制服の内ポケットにしまった…そんな記憶が蘇って来た。

「って、誰に叱られたの?」

と聞く誠に

「今は教えない。知ってなんも得する事がない。」

と、ニヤニヤしながら言う悠治。

「と言うかお前!」

パシンッと背中を叩かれる。

「いてっ」

誠は叫ぶ。

夢の中なのにジンジン痛みが広がる。

「もーお、ホントこのおバカ。なんで、お前、なんで俺だけ助かったのとか思っちゃうわけ?もう信じられない!!と思って来たんです。ボク。」

「おじさん…」

「お前の命はお前のもの。俺のは俺のだ。全然気にすることない事に気に病みやがって」

「最近は生きる事に有り難み覚えるようになったんだ。萌と付き合いはじめてからは特に…」

その言葉に

「萌と付き合い始めてからのお前、輝きはじめたしな。こんなにでかくなりやがって。しかも、うちの萌といっつも乳繰り合いまくりやがって。殴り飛ばしたくなったわ。」

と言う悠治に

「わっごめっごめんなさいっ」

と零す誠。
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