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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第29章 血と機転と夢
「カンパーイっ」
誠らを襲った豊を含む七人は、警察に嗅ぎつけられる前に、都心から外れた廃家屋まで来ていた。
ーーー『唯ちゃんを利用するだけ利用して、結果的に周りを傷付けて、てめぇは良い子ちゃんかよ!ハッ笑えるねー。クサまでやっといて何やってんの?バカじゃないの?ここまで来たらさっさとやれよ!こるぁっ』
誠が言った言葉をリフレインしながら
(俺はそう言うつもりでやった訳じゃない俺は…!!)
豊は自分がやってしまった状況に混乱を隠せずにいた。
誠を刺した手の感触が忘れられなく、手がブルブル震えている豊に気付かない仲間の内の一人が
「川仲誠を殺った協力として、高橋萌を俺らも姦わしても良いよなっ?!」
と興奮した様に言うのに、豊は立ち上がり
「わぁぁぁぁー!!」
と発狂しながら、発言した者を刺そうとするのを
「おっと。俺らが協力したんだから、その分の取り分はちゃんと分けなきゃ、な?」
と、他の仲間が豊を羽交い締めにし、マサトは豊の手からナイフを抜き取る。
バキッ!!
マサトは豊を殴り、豊は唇に血が滴り落ち、床に蹲る。
「…まずはすぐに動いちまったらサツにすぐに捕まっちまうからさ。あと、向こうも警戒するだろうし。少し待とうや。」
そう言うマサトに五人は頷く。
豊は頭の混乱を拭えないまま、ただ黙っているだけだった…ーーー。