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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第30章 甘える誠


(まぁでも、小さい頃長く入院生活してたから、そんなこともできちゃうんだろうな…)

と、思いつつ、昼食のアナウンスが入る。

今日は配膳や下膳は萌がやる事を、看護師と打ち合わせしていた萌は、

「お昼ご飯、持ってくるわね!」

と言い、身動きの取れる患者はナースステーションの前で、昼食を受け取るようになっているため、ナースステーションへ向かう。

決まった時間にリハビリなどはしているらしいが、まだ、腹の怪我の影響もあり、日常生活の身動きが取れていない誠。

まだ尿道カテーテルによって、体の状態を細かくチェックを受けている。

あれから三日間重湯で過ごした誠は、三分粥に変わった。

来週は七分粥になるらしく、普通食になるのはもう少し後のようだ。

(体はちゃんと回復してるって事だから良いんだけどね…)

誠はまだ個室の中にいた。

(普通なら四人部屋とか移るんだろうけど、警察とかも出入りするから、個室なんだろうなぁ…)

周囲が不安にならないためとプライバシーの確保が誠には必要のようだ。

萌も警察との連携が欠かせない。

まだ豊の消息が分かっておらず、いつ現れるか分からないからだ。

また、集団で誠を襲撃して来たのも大きく、萌の周囲に警察がいつも張り込んでいた。

ゆうや誠が心配するような事になると、次は萌が何らかの被害に遭う可能性が高いからだ。

なので、ナースステーションに近い部屋に誠はいる。

人目が付く所にいる事が何よりの予防だからだ。

配膳庫が来るまで考え事をしながら、他の患者と食事を待ち、ようやく誠の名前を呼ばれた所で、誠の食事を受け取り、誠の部屋に戻った。

「お待たせ、まこちゃん」

そう言う萌に

「ありがと、萌」

と、優しい笑顔を向ける誠。

(ほんっとエロとこう言うののギャップが激しいんだから…もうぅぅー…)

と思いつつ、テーブルに配膳されたお盆を置き、蓋を開ける萌。

今日は大晦日と言う事もあり、他の普通食が取れる患者には豪華なものが用意されてるが、誠にはまだ少し早い…と言う事で、七分粥に味噌汁、消化の良いおかず類が付いている。

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