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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第30章 甘える誠
萌は、誠の大きな背中を温かいタオルで清拭をしながら、

「ねぇ?まこちゃん?」

と、聞く。

先ほど、誠の両親が来て、ある疑問が芽生えたのだ。

誠は

「んー?」

と言いながら、前の方を拭いていて、

「おじさんとおばさんって、もしかして、随分前から海外に行く事決まってたんじゃないの?」

と言う言葉に誠の体を拭く手がピタリと止まる。

「…んー…どうだろうねぇ」

と、話をはぐらかそうとする誠に

「だって急過ぎじゃない?まこちゃんが私達におじさん達が海外に行ったって言ったの」

と、萌は更なる追い打ちをかける。

話の感じからして、結構陽太と揉めに揉めた末に残ったのではないか…そう思ったからだ。

「…んん〜正直に言うと決まってはいた。だけど、高校受験するに差し掛かった時に決まった事で、俺は萌と一緒の学校に行きたかったからこっちに残るって、無理矢理受験したんだ」

しかし、これから高校中退して海外に行くと言う誠の言葉に矛盾を感じた萌は

「…へ?なにそれ。で、海外に行きたいって言うのは?」

「なんて言うか…医療的なものもそうだし、世界の広さみたいなのを実感したかったって言うか。海外って、国境なき医師団とか色んな活動してるだろ?そう言うの間近で見て活動したかったから…」

「だから、行きたいんだ」

「…ん。でも良く良く調べたら、日本で、そう言うの登録出来るみたいなんだよなぁ〜。しかも、海外に行って免許取っても、その国しか働けねーらしいし。俺勢いで言っちまって、今、いつゆうちゃんに内部進学するって言おうかめっちゃ悩んでる」

んんん…と眉を顰めて言う誠に萌が更なる疑問を投げかける。

「そ、そうだったんだ。しかも勢いで言ったって、何があったの?」

「…ラブホに初めて言った時に、萌の寝顔を見て、つい…」

「私の顔を見てついって?」

「いや、なんてーか…お医者さんとして、萌と一緒に働いて、萌を支えたい…的な不純な動機を言いましてですね…」

ポリポリと包帯が巻かれてある頭を掻きながら言う誠に

「あっ!だから学年10位以内にしなさいって言われてたんだ!」

と言う萌。

「ははは…若気の至りってヤツ?いや、俺今も十分若いんだけど」

と空笑いする誠。

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