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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第33章 オーボエが鳴り響く放課後
電車から降り、いつも歩いていた駅の道を歩いて行く内に、バクバク…と心臓が鳴り響いて行く。

空気が薄く感じ、

(ああ…無理かも…)

そう思いながら、唯は駅の壁に寄りかかり、しゃがみ込む。

目を瞑り、感情が沸き立つ様をどうにか堪え、スー…ハー…と、深い息を何度かして行く内にだいぶ体が楽になり、唯は立ち上がろうとした時、パシンと腕を掴まれる。

「大丈夫か?」

同じクラスメイトである三島康之だった。

あまり話をした事がない、サッカー部に入っている康之。

康之の情報があまりない唯は、どぎまぎしながら

「あ、ありがと…」

掴まれた手で、ゆっくりゆっくりと唯は立ち上がる。

康之は一緒に学校へ行ってくれるのか、歩調を合わせて歩いてくれる。

唯はどこかホッとし、どこか気まずく歩き、無言のままの二人。


最寄駅から出ると、パラパラと雪がまた降っている。

「さっきまで晴れてたのに…」

呟く唯に康之は

「……天気予報では70%だったからな…」

ようやく、二人に会話が生まれた。

「…体、大丈夫か…?」

そう聞く康之。

「…うん…」

そう頷く唯に

「…心配、してた」

と、康之が返す。

「なんも…私も悪いし…」

ぎゅぎゅ…と雪の音を立てながら学校を歩いてく道の中、唯は呟く。

「お前は悪くねぇ…」

呟く康之。

そこで唯は押し黙り、歩いてく。

学校に入る時に思わず周りを見渡す。

萌はどこにいるんだろう…。

そう思ってると、つるんっと足が滑る。

「きゃっ!!」

康之は咄嗟に唯の腰を持つ。

何とか体勢を整えた唯は腰に手があることが気になりつつ、

「…ありがとう…」

そう言うと

「なんもだ。」

と、康之は顔を背ける。


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