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手を繋ごう~愛憎Ⅱ~(復旧版)
第33章 オーボエが鳴り響く放課後
HRが終わり、男性である担任に

「佐藤、こっちに来い」

と、呼び出される。

周りのクラスメイトの視線を感じるまま、担任は廊下で唯と対面する。

あんな風に放課後騒ぎになった事もあり、ゆうが笑って流すだけだった事から、何を言われるのだろう…と、唯は体が強張る。

担任は唯の頭をポンと乗せ

「良く来たな…」

と、笑顔で言った。

担任に言われた言葉に強張っていた体が脱力し、感情が込み上がる。

「私…」

泣きそうになるのを堪えながら、唯は呟く。

「澤村先生にばかり任せてしまって悪かったな…。こう言うのは男である自分が行ってしまうと逆に佐藤に何か負担を掛けさせるんじゃないか…と思って、俺が澤村先生に頼んだんだ…」

そう言う担任に、そしたらそう言って欲しい…と思いつつ、恐らく、唯が学校に行く前に先生同士で念入りに話し合いが行われたのだな…とふと思う。

女性であるゆうが来てくれたお陰で、ゆうに心を開き、話しをすることが出来た。

しかし、男性である担任が来ていたらどうなっていたのだろう…。

見る目が気になってくるし、不安になる。

目覚めた直後のショック状態の頃から、毎日両親が懸命に見舞いに来てくれ、ごく稀に事件に対する思いなどを聞かれる事があったが、後は特に家でいた時と同じ様に接してくれた。

一時は父までもを寄せ付けなかったし、医師も、最初は男性だったが、唯が恐怖感を覚えて、女性に変わった。

女の先生に変わった事から、唯は心を開けるようになり、父と話す事ができる様にもなり、他の医師や男性の看護師とも話せるようになった。

だから、唯は二ヶ月で退院出来たのだ。

両親が医師に唯の様子を報告していたのもあるし、病院の迅速な対応、あと元々看護師であったゆうの機転が大きいのだろうな…と唯は思った。
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